尚絅学院大学図書館 小展示企画
明治~昭和初期のクリスマス
会期:平成20年(2008年)12月1日~12月22日
会場:尚絅学院大学図書館
明治15年(尚絅女学校開学の明治25年より少し前)から戦前までの
クリスマス記事を当館所蔵雑誌から集めてみました。
昔のクリスマスはどんなものだったでしょうか?
⑪「12月②」 婦人 昭和3年(1928年) 12月号 第5巻12号
「婦人」は大正13年(1924年)、全関西婦人連合会により創刊された機関誌です。
大正デモクラシーを背景にさかんとなった女性運動で大きな役割を果たしました。
社会運動の記事の合間に、季節の話題、家庭向けの記事が掲載されており、写真は、12月の風物を写したシリーズのうち一枚。
記事の合間におり込まれました。
⑫「クリスマスカードとカレンダー」 婦人 昭和4年(1929年) 12月号 第6巻12号
こちらは、クリスマスカードの話題。クリスマスカードと年賀状を兼ねた習慣がこの時期みられたようです。
外国向けに作られた日本風のカードも当時からあったのですね。
⑬「おでこのサブちゃん」 婦人 昭和11年(1936年) 12月号 第13巻12号
サブちゃんは、サンタのおじさんをすっかりかついでしまったようです。
作者の松田三郎は、昭和4年から「婦人」誌上でイラストを手がけていました。
この「おでこのサブちゃん」は、昭和10年6月号より昭和11年12月号まで連載されていたものです。
⑭「奥羽紀行(抜粋)」 婦人 昭和11年(1936年) 12月号 第13巻12号
「奥羽紀行」より、「東北の雄都仙台」の箇所です。クリスマス記事ではありませんが、昭和11年の仙台の様子が描かれています。
⑮「クリスマス広告①」 幼児の教育 昭和12年(1937年) 12月号 第37巻12号
「幼児の教育」は、明治から現在まで刊行が続いている幼児教育雑誌です。
お正月とクリスマス、暖かいお部屋での工作は楽しそうですね。
⑯「クリスマス広告②」 幼児の教育 昭和13年(1938年) 12月号 第38巻12号
昭和13年は、国家総動員法が発令されました。「慰問袋」が時代をうかがわせます。
⑰「クリスマス広告③」 幼児の教育 昭和14年(1939年) 11月号 第39巻11号
昭和14年は、第二次世界大戦開戦の年です。
12月号にはクリスマス広告はなく、こちらは11月号の広告です。 クリスマスらしさは自粛されたのでしょうか。

三.昭和初期~開戦前(1926-1939)
大衆化したクリスマスは、本来の意味から離れ、モダンな雰囲気を味わう日、となってゆきました。
子どもたちにとってはもちろんうれしいプレゼントとごちそうの日です。
日本が国際社会から孤立するにつれ、クリスマスは次第に自粛されるようになりました。
日中戦争開戦の昭和12年(1937)には、宗教界に対しても戦時協力が求められるまでになり、ほか、ダンスパーティ、
クリスマス大売出しなども自粛されるようになりました。
出版界でも、クリスマス関連記事はコマーシャルを含め、昭和13年(1938)年にはほとんど見られなくなりました。
⑥「目次②」 少年世界 大正8年 (1919年) 12月号
クリスマスツリーの飾り付けに忙しい坊ちゃんです。この時期は楽しいクリスマス行事があちこちで催されるようになりました。
「虎狩ゲーム」はどんなゲームだったのでしょう。
⑦「クリスマスの守方」 ときのこゑ 大正13年(1924年) 12月15日号
筆者のブースは、救世軍創始者です。 自身のクリスマスの思い出、クリスマスの歴史、習慣などについての記述があります。
⑧「救世時事」ほかクリスマス記事 ときのこゑ 大正13年(1924年) 12月15日号
「貧民弱者を思へ」年末に社会鍋の活動を行う意義が説かれています。 「救世講壇」の筆者山室軍平は、日本における救世軍の中心人物です。
⑨「救世論壇」ほかクリスマス記事 ときのこゑ 大正15年(1926年) 12月15日号
「救世講壇」(山室軍平)クリスマスによせて、イエスの生涯を筆者の視点から述べています。
⑩「降誕を迎へて」 ときのこゑ 大正15年(1926年) 12月15日号
クリスマスをきっかけに入信した青年の話題ほかです。
キリスト教が禁制を解かれたのは明治6年でしたが、一般の人々のキリスト教に対する思いは以後も様々でした。

①「クリスマスの歌」七一雑報 明治15年(1882年) 12月15日号
「七一雑報」は、神戸の宣教師グループが主催、今村謙吉社長の「雑報社」が発行したキリスト教の啓蒙・伝道を目的とした新聞です。
最初は一般的な記事が多く掲載されていましたが、徐々に各地の教会の動向などキリスト教紙として充実した内容となりました。
「クリスマスの歌」は、女学生の歌の紹介ですが、そのとなりに大悪婦の話題があるのが面白いですね。
②「クリスマスの送りもの」 東京婦人矯風会雑誌 明治24年(1891年) 第44号
「東京婦人矯風雑誌」は、明治21年(1888年)東京基督教婦人矯風会刊行の雑誌です。
文中の『尾濃』とは、尾濃大地震(明治24年10月28日)のこと。マグニチュード8.0を記録し、被害は甚大でした。
贈り物の多いクリスマスは助け合いの心を考える機会でもあります。そんなエピソードです。
③「クリスマスの歌」 ときのこゑ 明治28年(1895年) 12月21日号
「ときのこゑ」は、年末の社会鍋の活動で知られる救世軍の機関紙です。
明治28年11月に創刊されました。毎号、救世軍の主義を高らかにうたい、キリスト教の精神を広く伝える役目も果たしました。
「ときのこゑ」のクリスマス記事は、どの年も大変力が入っています。
④「クリスマスの感」 婦人新報 明治33年(1900年) 12月
「婦人新報」は日本基督教婦人矯風会の機関紙で、日本最古の婦人雑誌です。
キリスト教の倫理観を基に社会改良を訴え、平和、純潔、酒害防止を活動目的とした団体らしさがわかります。
⑤「目次①」 少年世界 明治40年(1907年) 12月
仙人か中国の神様のようですがサンタクロースです。
なかなかイメージが捉えきれていないところが面白いイラストです。
「水彩画練習帖」の大下藤次郎は、明治34年にベストセラーとなった水彩画技法書「水彩画之栞」の著者です。
あこがれる読者がいたのでしょうか。

一.明治期(1867-1912)
日本にキリスト教が伝来して以来、クリスマスは祝われてきましたが、現在のように、宗教行事を離れたお祝い事となったのは、
明治後期、日露戦争と第一次世界大戦の間の時期のようです。銀座ではクリスマス商戦が打ち出され、子どもたちの年末年始の
お年玉の風習に溶け込んだようなかたちでプレゼントの習慣も広まりました。
尚絅学院大学図書館は、キリスト教団体関連の雑誌を多く所蔵しています。それらの記事からは、消費の気分から離れた、
ようやく解禁されたクリスマスの心を自ら守り、人々にも伝えようという思いが伝わるようです。
二.大正期(1912-1926)
「ときのこゑ」のように、キリスト教団体の活動も活発になりましたが、教会から離れたところでも広くクリスマスは知られ、親しまれるようになりました。
帝国劇場では大正4年、「クリスマス娯楽会」三日間を開催し、大正7年には大阪中央公会堂で「クリスマスと平和記念大会」が催され、
子どもたちが招待されました。大正9年有楽座では「チルチルミチル」が上演されています。
童画や小説でもクリスマスが題材として取り上げられるようになり、ディケンズの「クリスマス・キャロル」も広く読まれるようになりました。
今回の展示に使用された雑誌はカウンター前に展示しています。
「七一雑報, 復刻版, 7」 不二出版K.K..
分室 071||H||7 1019899
「東京婦人矯風雑誌, 復刻版, 3」 日本キリスト教婦人矯風会編. 不二出版 (婦人新報:3).
分室 190.5||N||3 1008201
「ときのこゑ : 日本救世軍機関紙, 復刻版, 13」 不二出版.
分室 198.98||H||13 1051858
「ときのこゑ : 日本救世軍機関紙, 復刻版, 14」 不二出版.
分室 198.98||H||14 1051861
「ときのこゑ : 日本救世軍機関紙, 復刻版, 1」 不二出版.
分室 198.98||H||1 1051896
「少年世界, 13巻1号~25巻12号」 日本図書センタ-, 1990 (教育関係雑誌目次集成:第3期(人間形成と教育編) 第2巻).
分室 370.5||K||3-2 1091349
「婦人 : 全関西婦人連合会機関誌 復刻版:第8巻」 第5巻第7号-第12号(昭和3年7月-12月). 不二出版
分室 367.2||H||8 1078915
「婦人 : 全関西婦人連合会機関誌 復刻版:第10巻」 第6巻第7号-第12号(昭和4年7月-12月). 不二出版
分室 367.2||H||10 1078909
「婦人 : 全関西婦人連合会機関誌 復刻版:第24巻」 第13巻第7号-第14巻第1号(昭和11年7月-12年1月). 不二出版
分室 367.2||H||24 1078880
「婦人新報, 復刻版, 10」 日本キリスト教婦人矯風会編. 不二出版.
分室 190.5||N||10 1008208
「幼児の教育, 復刻版, 37」 名著刊行会.
書庫 376.05||Y||37 1021269
「幼児の教育, 復刻版, 38」 名著刊行会.
書庫 376.05||Y||38 1021270
「幼児の教育, 復刻版, 39」 名著刊行会.
書庫 376.05||Y||39 1021271
参考文献
「クリスマス : どうやって日本に定着したか」 クラウス・クラハト,克美・タテノクラハト著. 角川書店, 1999.
開架 196.3||K 1090230
「日本キリスト教歴史大事典」 日本キリスト教歴史大事典編集委員会編. 教文館, 1988.
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