Shokei Gakuin University and Women's Junior College Library

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『不思議の国のアリス』について
● 『不思議の国のアリス』(原題:“Alice's Adventures in Wonderland ”) ルイス・キャロル
 この本は、1865年に作者ルイス・キャロルによってロンドンのマクミラン社から出版されました。挿絵を担当したのが当時、
絵入り風刺雑誌「パンチ」誌で人気を博していた、ジョン・テニエルです。

 アリスはお姉さんといっしょに、草のしげった土手にすわっていましたが、何もすることがないので、だんだん退屈になってきました。
(略)ところがそのとき、ピンクの目をした白ウサギが、すぐそばを走っていきました。それは、めずらしいことでもなんでもありませんでした。
そのウサギは走りながら、「たいへんだ!どうしよう!まにあいそうにないぞ!」とひとりごと言っていましたが、それを聞いても、
アリスはとりたててかわったことだとは思いませんでした。(略)でも、そのうさぎがチョッキのポケットから時計を取り出し、
ちょっと見てからすぐまた走りだしたとき、アリスは飛び上がって、ウサギのあとを追いかけはじめました。…
(愛蔵版『不思議の国のアリス』訳:脇明子1998年岩波書店)


 こうして7歳の少女アリスのとんでもない冒険が始まります!!
チョッキを着た白ウサギを追って不思議の国へと迷いこんでしまったアリスは、その世界でニヤニヤ笑いのチェシャ猫や、
気違い帽子屋や人間みたいなトランプの札や、にせ海亀やグリフォンなど様々な不思議な生き物たちと出会い、奇妙な冒険をしていきます。
 生涯、子どもたちの友であり続けた作者ルイス・キャロルによる、空想とユーモアあふれる物語です。

 日本において『不思議の国のアリス』は、現在まで20人以上の訳者により様々な翻訳が行われています。
それぞれの訳を見比べてみてはいかがでしょうか?

 新たなアリスに出会えるかもしれません
尚絅学院大学図書館で所蔵している『不思議の国のアリス』
●“Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking-Glass”
by Lewis Carroll illustrated by John Tenniel Macmillan, 1998

●愛蔵版『不思議の国のアリス』 脇明子訳(岩波書店 1998)
●『ふしぎの国のアリス』 芹生一訳(偕成社 1979)
●『不思議の国のアリス』 矢川澄子訳、ドゥシャン・カーライ絵(新潮社 1990)
皆さんは「不思議の国のアリス」と聞いてどのようなアリスを思い浮かべますか?
 『不思議の国のアリス』(原題:Alice's Adventures in Wonderland)は、
1865年にイギリスの数学者であり作家のルイス・キャロルによって出版されて以来、
ドイツ語・フランス語・イタリア語などに翻訳され、現在ではスワヒリ語・ゲール語などを含む68の言語に翻訳されていて、
世界中の人々に読まれて愛され続けている児童文学です。

英米では聖書とシェイクスピアに次いでよく読まれている本だと言われています。

 1951年には、アメリカのウォルト・ディズニー製作による「ふしぎの国のアリス」
(原題:Alice in Wonderland)のアニメーション映画が公開されました。(日本での公開は1953年8月)
原作のアリスを知らなくてもこのディズニーの映画のアリスを知っているという人も多いと思います。

 また2010年4月にはティムバートン監督、ジョニーデップ出演の映画「アリス・イン・ワンダーランド」が公開されます。
この映画の下敷きになっているのも、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』や『鏡の世界』です。

 今回は、映画の原作にもなっているルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』についてご紹介します。
不思議の国のアリスの世界への招待
ルイス・キャロル
※日本のおける『不思議の国のアリス』の初訳は、1908年(明治41年)2月に実業之日本社から創刊された『少女の友』の
第1号から第3号までに掲載された。
第1号「黄金の鍵」、第2号「トランプ国の女王」、第3号「海の学校」と題して、作者「須磨子」名義の永代静雄訳によって連載されたが、
原作に忠実な翻訳というよりは、作中の興味深い話をところどころ抜粋して、各号読みきりの物語に仕立てた翻案作品に近い。
1912年に紅葉堂書店から一冊にまとめられ『アリス物語』として出版された。
 初期の珍しい訳本として、芥川龍之介と菊地寛の共訳による『アリス物語』(1927年)がある。
作者ルイス・キャロルについて
ルイス・キャロル(Lewis Carroll、本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン1832年1月27日-1898年1月14日)は
イングランド北西部チェシャー州ダーズベリ出身のイギリスの数学者、論理学者、写真家、詩人である。
作家としてのルイス・キャロルは、『不思議の国のアリス』の作者として非常によく知られている。
また数学者としても、本名のチャールズ・ドジソン名義で『行列式初歩』などの著作を出している。

 彼は作家として活動するときに「ルイス・キャロル」のペンネームを用いた。
このペンネームは、本名のもじりであり、「Lewis」は「Lutwidge(ラトウィッジ)」のラテン語名の「Ludovicus」を、「Carroll」は
「Charles(チャールズ)」のラテン語名の「Carolus」を、それぞれ英語化したものである。

 父はオール・セインツ教区教会で牧師をつとめるチャールズ・ドジソン。
彼は、のちにキャロルも進学することになるオックスフォード大学のクライスト・チャーチ・カレッジ(学寮)で数学と古典を修めた、
優秀かつ勤勉な人物だった。
1827年からこのチェシャー州の寒村ダーズベリに赴任したドジソン夫妻は、その後4人の男の子と7人の女の子に恵まれた。
のちにルイス・キャロルの名で呼ばれることになるチャールズも、2人の姉をもつ長男としてこの地の牧師館で生まれた。

 キャロルは有名なラグビー校に学んだのち、19歳のときに父親の母校であるオックスフォード大学のクライスト・チャーチ・カレッジに入学した。
神学と数学にとくに際立った才能を示していた彼は、在学中に数学の試験で「第一級」の成績を納め「特別研究生」の資格を得たのだった。
卒業後はずっとクライスト・チャーチ・カレッジにとどまり、母校で数学と論理学を教えていた。

 キャロルは65歳の時にインフルエンザをこじらせて肺炎で亡くなるまで、一生独身で過ごした。

 彼は生涯、小さな子どもたちをこよなく愛し、彼らから「ドジソンさん」の愛称で親しまれた良き友でもあった。
子どもたちへの限りない愛がルイス・キャロルとしての作品に溢れているといえる。
キャロルには吃音癖があり、自分の名前を発音するときに
「ド、ド、ドジソン」と言ってしまうことがあったため、 
『不思議の国のアリス』では、自分自身を「ドードー鳥」として
戯画化して登場させています。
『地下の国のアリス』から『不思議の国のアリス』誕生まで
世界中の人々から愛され読まれ続けている不朽の名作『不思議の国のアリス』には原話となったお話がありました。
それが、クライスト・チャーチの学寮長の次女アリス・プレザンス・リデルにクリスマスプレゼントとして贈られた、
ルイス・キャロル手書きの『地下の国のアリス』です。

 キャロルは、リデル学寮長の娘たちと親しくしており、しばしば3人の娘たちを連れて、舟遊びのピクニックへと出かけていました。
 1862年7月4日、キャロルはいつもと同様にリデル家3姉妹と友人のロビンソン・ダックワースと共にアイシス川へピクニックに出かけました。
その道中に、3姉妹からお話をせがまれて即興で聞かせた物語が『地下の国のアリス』です。
キャロルはボートを漕ぎながら、お話を作っては子どもたちに聞かせていて3姉妹はたちまちこの物語の虜になりました。
口頭で語っていた物語を、次女のアリス・リデルから「自分のために物語を書いてほしい」と頼まれて文章に書き起こし、
1864年11月26日にキャロル手書きの『地下の国のアリス』がクリスマスプレゼントとして贈られました。

 その後、『地下の国のアリス』を見たマクドナルド夫人(当時の有名な子どもの物語作家だったジョージ・マクドナルドの妻)と、
その6歳の息子グレヴィルの強い勧めを受けて、『地下の国のアリス』の本文を1万2715語から2万6211語へと書き足して、
正式に出版されることになりました。

 仮題の『Alice Among the Fairies(妖精の国のアリス)』と『Alice's Golden Hour(アリスの黄金の時間)』が却下された後、
『不思議の国のアリス』はついに1865年、ロンドンの出版者のマクミラン社から出版されました。
公式出版にあたっては専門の画家の技術が必要だというキャロルの判断により挿絵は、
絵入り風刺雑誌「パンチ」誌で人気を博していたジョン・テニエルが手掛けました。
『鏡の国のアリス』
『不思議の国のアリス』が出版されると、キャロルのもとへ各方面から次の本に対する期待が寄せられました。
そして1871年のクリスマス、ついに『不思議の国のアリス』の続編である『鏡の国のアリス』が出版されました。
物語の設定は、『不思議の国のアリス』から半年後の11月になっています。
 前作が夏の日の物語であるのに対して、『鏡の国のアリス』では、イギリスの風物詩である「ガイ・フォークスの日」(11月5日)の前日から始まります。
アリスは暖炉の上の大きな鏡を通りぬけて、鏡の世界へと迷い込んでしまいます。
その世界では、文字が左右逆さまに書かれていたり、何かに近づくためには逆にそれから離れなくてはいけないという「逆さまの世界」だったのです。
ハンプティ・ダンプティやトウィードルダムとトウィードルディーなどと出会い、前作と同様はちゃめちゃな冒険をしていきます。

 日本における『鏡の国のアリス』の初訳は、1899年(明治32年)の4月から12月にかけて、巌谷小波が編集を勤めた
有名な『少年世界』の5巻9号から5巻26号までに連載された「鏡世界」であると言われています。

 じつは、日本では『鏡の国のアリス』が『不思議の国のアリス』より、9年も先に長谷川天渓によって翻訳され紹介されていたのです。
この手書き本の実物は、現在大英博物館に展示されています。
『地下の国のアリス』
今回は、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』や『鏡の国のアリス』のほんの一部分をご紹介しました。
これを機会に、今まで『不思議の国のアリス』の原作を読んだことがなかった方も、
是非手にとって読んでみてはいかがでしょうか!
 また一度読んだことがある方も、様々な訳本が出ているので色々と読み比べてみると、
一味違うアリスに出会えるかもしれません。
《参考文献》

 『不思議の国のアリスの誕生』
  ステファニー・ラヴェット・ストッフル著、笠井勝子監修、(創元社 1998年)
 『不思議の国のアリス:ルイス・キャロルと二人のアリス』
  舟崎克彦、笠井勝子著、(求竜堂 1991年)
 『ルイス・キャロルの生涯:不思議の国の数学者』
  デレック・ハドスン著、高山宏訳、(東京図書 1976年)
 『地下の国のアリス』 ルイス・キャロル著、安井泉訳(新書館 2005年)
 『不思議の国のアリス』愛蔵版ルイス・キャロル著、脇明子訳(岩波書店 1998年)
 『不思議の国のアリス』 
  ルイス・キャロル著、矢川澄子訳、ドゥシャン・カーライ絵、(新潮社 1990年)
 『ふしぎの国のアリス』 ルイス・キャロル著、芹生一訳(偕成堂 1979年)
 『鏡の国のアリス』愛蔵版 ルイス・キャロル著、脇明子訳(岩波書店 1998年)
 『鏡の国のアリス』カラー版 ルイス・キャロル著、石川澄子訳(東京図書 1989年)


《参考URL》
・Alice’s Adventures in Wonderland by Lewis Carroll-Project Gutenberg(en)
  :http://www.gutenberg.org/etext/11
・プロジェクト杉田玄白『鏡の国のアリス』
  http://www.genpaku.org/alice02/alice02j.html
・「FRONT PAGE OF LEWIS CARROLL」
  http://www.hp-alice.com/lcj/lcj_index.html
・「明治のルイス・キャロル」
  http://homepage3.nifty.com/nada/page040.html